専守防衛──日本を支配する幻想
著者:清谷 信一
出版社:祥伝社/価格:¥798
オススメ度:★★(最高は★★★)



今ある装備と法律のままでは、尖閣諸島を奪われる!
という帯に惹かれ購入した1冊


「専守防衛」とは、
・本土防衛戦となり民間人に多数の死傷者が出る。
・戦術が極度の制限される不利な戦い方

という著者の主張にはなるほどと納得させられた。

スイスやスウェーデンなどの永世中立国はその中立性を守るため、徴兵制を敷き、建物は防弾仕様、地下には核シェルターを備え、国民一人一人が国防に努めているという。
平和は不断の努力なしでは守れないことが分かるエピソードであろう。

ソ連が崩壊したことにより北方の軍事的脅威は後退したが、中国や韓国、北朝鮮との間の諸問題は大きくなっている。
しかし、日本の島嶼防衛の現実は貧弱であることが現実であるという。
島嶼防衛には利用できない大型戦車を多数保有しているなど、装備品調達に対する問題も指摘している。

防衛に関する書籍の購入は初めてなのだが、日本の防衛には諸外国では考えられない多数の問題が横たわっていることを知ることができた。

われわれ日本人が気にする問題は、とかく経済・福祉に集中しがちであるが、考えてみるとこれらの問題は、日本の平和と独立が担保されているからこそ考えることができる問題なのである。

本書は、分量もそれほど多くなく、文章も平易に書かれているため大変読みやすい。
防衛についてちょっと考えてみようと思った時に、最初の1冊としてオススメできる1冊である。