大地震と株式投資 「イベントX」をどう乗り越えるか
著者:菊池 誠一
出版社: 日経BP社
価格:¥2,160
オススメ度:★★(最高は★★★)




大地震や火山の噴火などに焦点を当て、株式投資にいかに応用するかを論じた本です。

類書は他にみないので、貴重な1冊と言えるでしょう。


・南海トラフ地震
・直下型地震(首都圏、大阪)
・原発事故
・富士山噴火

などの発生確立や被害想定がまとめられており、どれくらいの危険があるのか一読しただけで分かります。


日本は太平洋側に災害リスクと経済を集中させている。

戦後日本の成長は、たまたま太平洋側で大きな災害が起きなかった巡り合わせの良さもあったんですね。


また、危険地域にどのような工場があるのか、詳細に調べ上げているので、企業の災害耐性を知ることもできます。
これは、独自に調べたようなので、相当に時間がかかったのではないかと思います。

これにより、トヨタグループや日立グループなど多くの製造業で、工場を1か所に集中しているので、隠れ高リスク銘柄があることを知ることができます。

トヨタ自動車は南海トラフ地震が起こった場合、国内製造は壊滅状態に陥る可能性があります。
反対に、ホンダは工場が全国各地に散らばっているので、災害へのリスクヘッジは出来ているようです。


投資における災害への対策として、
・海外資産へのシフト
・ベア型ETFの活用
・災害に弱い銘柄には投資をしない。

などが挙げられています。

ただし、海外資産へのシフト以外の対策は採用できないな、というが正直な感想です。

ベア型ETFの活用や災害対応を加味した銘柄選考は、いつ起こるか分からないものにリスクヘッジをかけ続けることになり、起こらなければリターンの大きな毀損になりかねません。


著者は元日経新聞の記者、アナリストです。
災害の専門家でもなければ、経済の専門家でもありません。
そのため、ところどころに首をかしげてしまう主張も見られますが、全体としては一読に値する1冊でしょう。

他に類を見ない1冊ということで、評価は★★(2つ星)とします。







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