新興ウエディング企業のエスクリの銘柄分析です。
都市部を基盤とし、駅ビル・駅チカへの出店で成長しています。


ウエディング業界は少子高齢化の影響をもろに受ける業界なので、市場は縮小傾向にあります。

上場しているウエディング企業はハウスウエディングを主力にしている会社がほとんどです。
ウエディングには、
・ハウスウエディング
・ホテルウエディング
・レストランウエディング
・海外ウエディング
・専門式場
といった形態があります。
ホテル経営には莫大な設備投資が必要、レストランウエディングは利益率が低い、といった欠点があり、また、ホテルやレストランはウエディングが本業でもないため、ハウスウエディングを主力に据える傾向にあります。


ハウスウエディングの成長限界は500億円
HW
ハウスウエディングは同業各社の動向を見る限り500億円程度が成長限界と思われます。
表は各社の売り上げ一覧表です。
これを見ると、400億円を超える辺りから成長が鈍化していることが分かります。

理由はいくつかあると考えています。

1.収益力の高い都市部への出店余地がなくなってしまう。
  リーディングカンパニーであったT&Gは、売上500億円超を目指して果敢に地方(田舎)への出店に挑戦しましたが、結果は散々なものでした。
  過疎化の進む地方で高単価のハウスウエディングは難しいのです。
  この結果を見たベストブライダルは地方への出店を行っていません。


2.口コミ(友達紹介)が通用しない。
  最近、俺のフレンチという飲食店が流行っているようです。
  AKI「昨日、最近オープンした俺のフレンチってとこに行ったんだけど、安くてめっちゃ美味しかったよ。しかもフレンチなのに立ち食いなんだよ!」
  京子「何それ、面白そう、私も行きたい!」
  AKI「じゃあ、今日晩御飯食べに行こうか。」


  口コミでの広がり、というと王道ですが、ことウエディング業界ではこれが通用しません。
  AKI「今日の結婚式良かったね〜。式場も綺麗だし料理も美味しいし。」
  京子「私、あの式場気にいっちゃった、私もあの式場で結婚式する!」
  AKI「えっ、同じ式場にするの・・・?」


  皆さんは友達と同じ結婚式場で披露宴ってしましたか?
  共通の友達同士で式場が被ったことはありますか?
  私は同じ式場になったという経験はありませんし、○○君と同じ式場だったね、なんて言われるのは絶対に嫌です。
  
  良い式場だったとしてもリピートはありませんし、口コミでの広がりはなく、むしろ友達が使った式場は敬遠される傾向にあります。


3.多様性が求められている
  結婚式にオリジナリティが求められているため、結婚式場にも多様性が求められています。
  エスクリの資料に、ファミレスのように大手独占が起きていない、とありますが、これは消費者がそんなことを望んでいないからです。
  【私はエスクリ!あなたもエスクリ!!みんなエスクリ!!!】
とはならないのがウエディング業界の特徴なのです。


4.真似をするのが簡単
  ウエディングは真似をするのが簡単な業態です。
  建物などのハードはもちろんのこと、ソフト面でも同様です。
  例えば、商品の1つに「サプライズ」というものがあります。ウエディング業が今世紀に生み出した最大のヒット商品です。
  これを最初に考え出した人は天才でしょう。T&Gが大きく成長できたのは、同業他社にはなかった「サプライズ」をいち早く取り入れたからです。
  しかし、今はどこの式場でもサプライズは普通に行われています。むしろ、サプライズがないことがサプライズ(笑)みたいな状況です。


ウエディング企業の成長ストーリーも各社似ています。
エスクリp26ベストブライダルp14T&Gp14の決算説明会資料をご覧になって下さい。

3大都市圏に出店→地方主要都市に出店→ホテル・レストランウエディングへ多角化→海外へ進出

各社この王道ストーリーで統一されています。
ちなみに、この方程式を見つけたのはT&Gですが、これを見つけるのにT&Gはかなりの失敗をしています。
というか、T&Gがやって上手くいったものだけを取り入れたのが、ベストブライダルであり、エスクリなんです。


(続き)


エスクリのポジションはベストブライダル、T&Gの後を追いかける3番手※です。
※まったく成長しないワタベウエディングは無視(笑)

売上高400億円程度まではスイスイ成長できる業界ですので、今のエスクリの売上であればまだまだ成長余地はあります。
株価的には、エスクリの時価総額が約100億円、ベストブライダルの時価総額が約300億円なので、株価3倍までは問題なく狙うことができます。


ウエディング業界は参入障壁が低いため、目に見えにくいところで差別化を図らなければ優位性を維持できません。

最大のポイントは人材育成
ウエディングはプランナーと顧客が何度も何度も打ち合わせをして作り上げていくものなので、プランナーに会社の全てがかかっていると言っても過言ではありません。

人材育成は一朝一夕にできるものではないので、会社の成長速度を余りに早めることはできません。
T&Gは人材育成を無視して成長しようとしたことが、失敗の原因の1つとなりました。
当時、ベストブライダルは、余りの高成長は人材育成が間に合わない、として高成長を否定し馬鹿にされていましたが、結果はベストブライダルが正しかったのです。

M&Aでもしない限り、成長速度の上限は年率20%くらいまででしょう。
年率20%でも5人に1人が新入社員になりますから。

エスクリの成長率は妥当なところですね。


売上1000億円に成長できるかは未知数です。
500億円超はエスクリのみならずウエディング業界にとって未知の領域なので、各社試行錯誤をしているところです。
本業のハウスウエディングでは難しいので、多角化が必須であり、難易度は格段に上がります。
同業他社と比較しても、エスクリの歩みは成長力も成長ストーリーも同じようなものであり、独自の優位性があるとも認められないので、500億円が壁となる可能性は高いです。


株価指標は予想PER8倍弱と割安(PBRは2.8倍)
財務は自己資本比率25%と低いですが、出店に多額の費用がかかる業態なのでやむを得ないでしょう。
ベストブライダルのように、低成長になってくれば財務は安定してきます。

普通、高成長時はPERは高め、低成長になってくるとPERは下がってきます。
なので、企業は成長した割には株価は伸びないものなのですが、ウエディング銘柄の場合、ベストブライダルもエスクリも同じようなPERであるのが面白いです。
「エスクリ・・・成長力↑、財務↓ = ベストブライダル・・・成長力↓、財務↑」
ということなんでしょうか!?