kappa
東大卒医師が教える科学的「株」投資術
著者:KAPPA
出版社:秀和システム/価格:¥1,680
オススメ度:★★★+α(最高は★★★)





EBI (Evidence-Based Investment) のすすめの管理人であるKAPPAさんの著書です。EBIのすすめは最も古くからある株式投資ホームページの1つであり、今日成功したバリュー投資家の成功者の多くか、EBIのすすめの門下生であると言えるでしょう。

KAPPAさんは医師であり、医学や科学と同じく、統計などの科学的な根拠に基づいた投資(EBI)を推奨されています。
海外のものを含む数多くの統計資料より、統計的に儲かる可能性の高いバリュー投資が紹介されています。

最初に、テクニカル分析、ファンダメンタル分析、カリスマ投資家の投資法、などをを否定しています。定性分析はアートであって、誰でも真似のできるものではない、と言う言葉が印象的です。
次いで行動ファイナンスに触れ、人間が陥りやすい心理上の問題(バイアス)と、バイアスから抜け出すためのEBI投資の有効性が紹介されています。

以後、様々な統計資料より、有効な投資指標が紹介されています。
PBRは単体ではあまり良い指標とは言えないという結果には驚きました。むろん蒿PBRよりは低PBRの方が良いんですが、低PBR銘柄は一部の大化け株がリターンを引き上げる傾向にあるため、PBRはPERを組み合わせなければ効果は低くなります。

著者の結論としては、割安性ファクター、財務ファクター、収益性のファクターを用いた投資が有効であると結論づけています。

■割安性ファクター
PER<15
PCFR<12
EV/EVIT<8

■財務ファクター
ROD<0.3

■収益性ファクター
ROA>7% または ROIC>12%
営業(又は経常)利益率>15%
アクルーアル<0


また、キャッシュリッチ企業への投資は、
割安性ファクター
PBR<1.5
F_SCORE=3

の指標を用いて判断します。


統計というものは、その統計資料の作成者により、恣意的にデータを選択されている可能性もあるので、鵜呑みにすることは危険なのですが、バリュー投資のデータについては、数多くの人達によってその有効性が確認されており、また、我々個人投資家の中にも成功者が多くいることを考えると、本書は優れた本であると思います。

ただし、いくつか難点も見受けられます。
1つは投資基準のEvidenceが示されていないこと。
低PERが有効というEvidenceは示されているのですが、低PERがなぜ15倍以下になるのか、というEvidenceは示されていません。
もう1つは景気の動向というファクタが加味されていること。
不景気時はPER10倍以下、好景気時はPER15倍以下、という記載がされております。景気によってPERは変化するということになるのですが、では景気の動向はどう判断するのか?というEvidenceは示されておりません。

本書の最後に、引用された参考文献の一覧が掲載されています。
本書は全部で47もの参考文献(しかもその3分の2は英語の資料)を要約してくれたものとなっています。これらの文献を全て自分で読もうと思えば、時間とお金、さらには英語の知識も必要になりますから、価値のある1冊と言えるでしょう。


いくつか難点も見られますが、だからと言って紹介されているEvidenceの価値が低下するというわけではありません。評価は最高の★3つ(★★★)に+αとします。
バリュー投資家であれば、手元に置いておくべき1冊です。
投資初心者にもオススメしたいところですが、内容が若干難しいので、バリュー投資の基礎的知識を学んでから購入した方が理解しやすいと思います。
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