貧乏人のデイトレ 金持ちのインベストメント―ノーベル賞学者とスイス人富豪に学ぶ智恵
著者:北村 慶
出版社:PHP研究所/価格:¥1,365
オススメ度:★★★(最高は★★★)


ベストセラーの外資ファンド 利回り20%超のからくりを書いた北村 慶氏の2冊目の著書となります。

本書では本のタイトルどおり、ノーベル賞学者とスイス人富豪が用いる負けない投資法初心者にわかりやすく教えてくれる内容となっています。
著者はヨーロッパでプロジェクト・ファイナンス、アメリカで投資ファンド、現在はM&A業務やコーポレート・アドバイザリー業務を手がける金融のプロです。

金融のプロが書く本と言うと、難しい用語がバンバン出てくる取っつきにくい本といいうイメージを持ちますが、金融の知識がない素人でも3時間もあれば完読出来てしまう平易な文章になっています。

書いている内容は本書を読まなければ簡単には得られない高度なものだけに、前著と同じくギャップはすごいです(笑)


●第1章 リバタリアンが進める「格差」社会
第1章は最初に日本の社会全体について話ですが、日本は年々格差が広まっている社会だとジニ係数を用いて解説しています。ジニ係数は社会格差を表す係数ですが、2002年現在でジニ係数は0.49、政府による冨の再分配が行われて0.38となっています。
ジニ係数は1だと1人の王様が冨の全てを独占する世界、0だとみんな完全に平等な社会となります。0.5で上位1/4の所得者が全ての所得の3/4を得ている社会を意味しますから。0.49の日本はそういう国なんですね。

深刻なのが高齢者で、ジニ係数は0.65という発展途上国並の数字になっています。今は政府の再分配(=年金、医療制度etc)で0.4以下の抑えられていますが、現在のようなハイレベルな社会保障を続けることが出来なくなった場合、待ちかまえている未来は貧困の老後ということになります。


●第2章 「金融格差時代」の新・資産運用
2005年の日本の家計の平均金融保有資産は1085万円です。これだけ見るとみんな持っているだな、という感想を持ちます。
ところで皆さんは1085万円お持ちでしょうか?私は持っていません。
実はこれは平均のまやかしでほとんど持っていない人と、いっぱい持っている人に2極化されているんです。丁度真ん中の人の金融保有資産は400万円。
つまり400万円以上持っている人は金持ちの方に分類されちゃいます。

老後の生活費については、
現在55歳以上の人は老後の必要資金以上の資金を確保できる。
45歳の人は2000万円不足、35歳の人は2500万円不足すると推計されています。

つまり、年金ギャップを抱える20代から40代のサラリーマンは、
WHEN:60歳のセカンド・ライフスタート時に、
HOW MUCH:2000万円から3000万円程度のお金を、
WHY:老後の豊かで安定した生活をするために、

準備する必要があるのです。


第3章 あなたの年金を運用する「国営・投資ファンド」
私たちの年金を運営する「年金資金運用基金」は2003年に6兆円もの含み損を抱えていました。当時、マスコミのパッシングが激しかったので、覚えている人もいるかと思います。
ところで現在の状況はどうなっているのでしょうか?マスコミは全然報道しませんよね。実は2005年上半期時点で5兆円の利益を生んでいるのです。
2年半で11兆円儲けていることにあります。

これは期待収益率、ボラティリティ、アセット・アロケーション、ポートフォリオ理論などのノーベル賞受賞者の理論に基づく投資を実践した結果なのです。
長期で見て負けない運用を世間のパッシングを浴びながらも、地道に続けたことが成果となっているのです。


●第4章 ”負けない”資産運用
ここでは、投資理論による「長期で負けない=豊かな老後を送る」投資を実践するために必要な7つの知恵(リテラシー)について説明しています。

第1の知恵 「トレーディング(短期売買)」から「インベストメント(長期投資)へ
第2の知恵 運用をプロに任せると損をする?−「アルファ戦略」と「ベータ戦略」
第3の知恵 普通の市民が持つ最強の武器−「複利効果」と「時間分散」
第4の知恵 「お金持ち」がますますお金持ちになる秘密−「ポートフォリオ理論」
第5の知恵 金融理論から見た「住宅」というもの−「持ち家」プレミアム
第6の知恵 世界経済の成長に参加する−「国際分散投資」
第7の知恵 変えない勇気・負けない気持ち−「運用ポリシーとリバランス」


本書の肝となる部分ですが、それだけに1つ1つについて説明すると長くなってしまうので割愛します。興味のある方は購入して下さい(笑)投資のプロやお金持ちがどのような投資理論をもって投資活動を行っているのか理解できます。


●第5章 「負けない社会」を目指して
国民の生活水準=労働生産性×労働参加率
という式で現されます。
人口減少にともなって労働参加率は悪化していくことが予想されますから、日本が今後も高い生活水準を保つには労働生産性を上げなければなりません。個々人1人ひとりの能力アップが必要なわけです。

また、負けない社会には新しい金融機関が求められます。
日本人が金融機関と聞いて思いつくのは銀行ですが、欧米ではインベストメント・バンク(投資銀行)になります。
日本で活躍している外資金融機関の名前を挙げてみて下さい。ゴールドマン・サックス、UBS、フィデリティ、JPモルガン、・・・全て銀行ではなくインベストメント・バンクです。
新しい日本の社会には日本のインベストメント・バンクが必要になってきます。


本書は投資というものを初めて考えた人の登竜門となるような本です。
平易でありながら、日本の現状や予測される将来、最新の投資理論を教えてくれます。全ての日本人に読んでもらいたい。そんな1冊です。
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