外資ファンド 利回り20%超のからくり
著者:北村 慶
出版社:PHP研究所/価格:¥1,365
オススメ度:★★★(最高は★★★)


世の中には様々な高利回りファンドが存在していますが、その秘密を解明してれる素晴らしい本です。
文章も平易にわかりやすく書かれてあり、金融知識のない私でもどんどん読んでいく
ことができました。
著者は大手グローバル金融機関に勤めるプロです。

アセットMやダヴィンチといった投資ファンド系の銘柄に投資している人で、それらの会社の儲けの仕組みがいまいちわかっていない人には、必読の書でしょう。


●第1章 ニッポン放送株騒動の“真の勝者”〜「企業買収ファンド」の戦略
企業買収ファンドの買収法について書かれています。
ここでは資産バリューの考え方が書かれています。
ライブドアとフジテレビが繰り広げたニッポン放送株騒動。
この勝者は誰だと思いますか?
ライブドアやフジテレビではもちろんありません。リーマン・ブラザーズ?村上ファンド?SBI?これらの企業でもないんですね。
 
●第2章 ゴルフ場から温泉旅館まで〜「企業再生ファンド」の素顔
買収ではなく再生の話です。
ここではゴールドマン・サックスのゴルフ場や温泉旅館の企業再生法が紹介されています。
収入を多く支出を少なくという、経営の基本でるキャッシュフロー改善が再生の主な手法であるようです。
外資にはハゲタカといった見方が強いですが、実際には地元と一体になった地道な企業再生が行われているんですね。

●第3章 地球を一回り〜「不動産投資ファンド」の実態
今の日本は不動産ファンド花盛りですが、その要因は世界中のお金が日本に雪崩れ込んできているからです。
アメリカで作られた不動産ファンドの資金はアメリカ→ヨーロッパ→日本と流れてきているんです。
なぜ日本か?
それは日本が儲かる市場だからです。
詳しく説明すると長くなるので、気になる人は本書を買って下さい(笑)

●第4章 百花繚乱〜乱立する「ヘッジファンド」の世界
相場の高低に左右されない絶対利回りを追求するファンド、それがヘッジファンドです。
ヘッジファンドと言うと得体の知れないいかがわしいものというイメージがありますが、ヘッジファンドの仕組みをわかりやすく説明してくれています。
ファンドマネージャーにとっては、自身の能力の証明と高い運用報酬を得られる世界です。
しかし、勝つか負けるか、という厳しい世界でもあり、4年連続運用成績上位25%に入ることのでいる人は、201人中2人という凄まじい状況でもあります。

●第5章 すべては、「歪み」から始まる
第5章からは、利回り20%超を実現する4つの秘密が紹介あれます。
1つ目の秘密は「歪み」です。
市場価格と理論価格の歪みを捉えることが、絶対条件です。
株式投資、特にバリュー投資などはこの考え方が基本ですから、読んでいて理解しやすいです。
・投資ファンドの理論的支柱である「無裁定価格理論」
・リターン(収益率)とリスク(標準偏差)の関係
・お買い得度を示す「シャープ・レシオ」

などの必須知識が解説されています。

●第6章 「レバレッジ」の巧拙が勝負を分ける
現在の不動産投資利回りは5%程度と言われています。
しかし、不動産ファンドは20%を越える利回りを誇ります。
この秘密が「レバレッジ」です。
期待リターン5%の金のガチョウに100万円投資するとします。
ROA=5万円/100万円=5%ですね。
【ケース1】自己資金100万円で投資
5/100=5 ROE5%
【ケース2】自己資金50万円、借入金50万円(金利2%)で投資
5万円−(50万円×2%)=4万円
4/50(自己資金)=8 ROE8%
【ケース3】自己資金25万円、借入金75万円(金利2%)で投資
5万円−(75万円×2%)=3.5万円
3.5/25(自己資金)=14 ROE14%
レバレッジをかけることで、これだけ投資利回りに差が出てくるわけです。
日本は世界的な低金利状態にあり、これが世界中から資金が集まってくる要因の1つになっています。

他にも最近のファンドが必ずといって用いている、
ノンリコースローンやIRR、DCF法といった、言葉だけは聴いたことのある用語をわかりやすく説明してくれます。

●第7章 “足し算”と“平方根”〜利益を安定させる「分散効果」 
投資ファンドのもう1つの理論的支柱である「ポートフォリオ理論」について、解説しています。
分散投資をした場合、リターンは分散投資先の期待収益をは足し算で増えていくが、リスクは和より数字が小さくなる二乗和の平方根で求められる、という理論です。
私は集中投資を基本としていますが、将来的には考え直す必要があるな、と思わされました。

●第8章 運用を支える「ファンド・カルチャー」
高利回りの運用を支えるのは、ファンドマネージャー個々人が大切であるという話。

●第9章 「ファンド」がもたらす“新しい資本主義”
最近はワールドやポッカとった上場企業が、上場を廃止する動きが見られるようになりました。企業にTOBを仕掛けるのは投資ファンドですが、企業を守るMBOも投資ファンドが行います。
また、現在の日本はメガバンクが信託、証券、消費者金融などの会社を傘下に収めるコングロマリット化を進めています。
しかし、世界の金融機関は現在コングロマリットを解消する動きにあります。
資産運用会社の運用成績を見ると、
小規模会社>中規模会社>大規模会社といった傾向にあります。
日本の金融機関は世界に10年後れているようです・・・。

●第10章 我々が「ファンド資本主義」の時代になすべきこと
かつて世界の工場であった、アメリカ、イギリスは共に金融立国として成り立っています。
世界の工場の地位を中国に奪われた日本は、これからの道=金融立国を真剣に目指さなければならないでしょう。
少子高齢化が急速に進む日本に残された時間は少なく、そのためには学校での金融教育や政府への金融教育が必須であると説いています。
私もこれはすごく大事なことだと思います。


長々と要約を書いてしまいましたが、本書はそれくらい素晴らしい内容になっています。
投資家だけでなく、全ての日本人に読んでもらいたいです。
スポンサードリンク
スポンサードリンク