週刊 東洋経済 10/1号 の特集
熱狂の不動産ファンド
を紹介しておこうと思います。

不動産流動化について非常にわかりやすく解説してくれている良書です。


■Part1 拡大するJリート大解剖

・価格と利回りの逆相関関係が、リート価格のスタビライザー(安定装置)役割を果たすため、バブル末期の株価のような暴騰・暴落は起きにくい。

・バブル期には、賃料収益より管理費や金利負担の方が大きいマイナス収支の状態でも、土地は値上がりするものとの前提で土地を転がすという愚が犯されていた。

・現在では収益還元法が定着。その物件から得られる収益に見合った価格でなければ取得に動かなくなった。

・Jリートは情報開示が徹底している。原則的に個別物件の収支すべてを開示することになっており、この安心感が運用難に陥っていた金融機関の目をJリートに向けさせた。

・東京23区のAクラスビルの空室率は03年6月末の8.8%から今年6月末に2.2%まで低下した。
・東京丸の内エリアのオフィス賃料は今年6月末時点で3ヶ月前比2.5%上昇。

・95〜00年の間に東京23区のオフィスワーカーは4%減少しているが、それにもかかわらずオフィスビルの需要は逼迫しているのは、リストラを終えた企業が増床に動いていることに加え、専門学校やデータセンターなど事務所以外の需要が強いから。

・中長期的には構造的な需給関係悪化要素をはらんでいるとはいえ、日本のオフィスビル市場環境は当面堅調に推移しそう。

・長期金利2%までの上昇は織り込み済み。それを越える急激な上昇でなければ、リート市場に大打撃とはならない。

・レバレッジ効果の仕組み
取得数100億円、年間収益5億円のケース
【ケース1】自己資金100億円
      収益5億円
      利回り=5億円/100億円=5%
【ケース2】借入金70億円
      金利2%
      金利負担70億円×2%=1.4億円
      自己資金30億円
      収益5億円−1.4億円=3.6億円
      利回り=3.6億円/30億円=12%

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■Part2 外資、私募ファンドの秘密

急成長の背景には、不動産評価手法の進化と出口としてのJリート機能

・投資家の要求利回りとレンダーから調達するノンリコースローン(NLR)の金利、及び担保掛け目(LTV=評価額に占める借入金の割合)、運用期間終了後の物件売却時に想定されるCAPレート(収益還元利回り)、売却想定価格などを組み合わせ、その逆算で価格を算出している。

・03〜05年の2年間で平均CAPレートは6.5%から5.4%へ、NRLの平均金利は3.1%から1.9%へ劇的に低下した。これが私募ファンドの好成績を促す要因となっている。

・CAPレートが5%の場合、年間収益5億円の物件の取得金額は100億円になるが、CAPレードが4%に下がった場合、取得金額は125億円になる。差額の25億円が物件を売却した際に投資家の利益となるので、CAPレートの低下は不動産の価値を増大させる。

・NRLの金利が下がった場合、低利のNRLに乗り換えるだけで収益は増える。

・私募ファンドが投資家やレンダーに説明する運用シナリオでは、つねに出口の想定が問題になるが、その出口としてJリート市場が機能している。

・いつでも売却できるJリートと、換金性、流動性の低い私募ファンドでは、投資家の期待利回りが違ってくる。

・期待利回りの高い私募ファンドは稼働率0%の空ビルにも投資する。リスクを取る分取得価格が安くリターンが高くなる。Jリートの投資物件は優良物件であるため、購入価格は当然高くなる。私募ファンドとJリートには収益安定性という明確な差があるため、私募ファンドの出口としてJリートが機能できる。

・銀行(特に地銀)では融資先企業の資金需要の低迷が続き金余り状態となっている。運用先には国債などの債権以外では株式しかなく、銀行預金を運用するちょうどよい運用先がなかった。そこにリートという新しい運用先が生まれた。

リートは国債との利回り格差が十分にあり、かつ優良物件が多く安定収益が見込めるまれな運用先であり、情報公開も一般企業以上に優れている。さらに投資信託とは異なり、売却益を本業の収益である「業務純益」に計上できる会計上のメリットもあった。これにより銀行の資金がリートに向かっている。


長くなったので今日はここまでにします。

次回は、リスクについて触れます。
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